こんなこともあろうかととは、科学者が自らの存在意義を披露する際に使われる定型文であり、科学者なら一度は言ってみたい台詞である。ニコニコ大百科より
科学者に限らず技術者なら一度は使ってみたい台詞です。
探査機はやぶさの運用で実際にこんな台詞が飛び交わされていたのかどうかは分かりませんが、宇宙に限らず GIS の分野でも使うことができます。
ArcGIS における「こんなこともあろうかと」の利用事例
以前とある GIS の講習会を受講しに行ったときのこと。私はオブザーバーとして受講者をフォローする役割で参加していました。その中で実際にあった会話です。
講師「ArcGIS Online や Portal for ArcGIS(以下ポータル)でフィーチャ サービスを作成して共有すれば、同じ地図を複数人で同時に編集することができます。」
生徒A「質問ですが、同じフィーチャを別々の人が同時に編集したらどうなるのですか?」
講師「ポータルのフィーチャ サービスでの編集は後勝ちになりますので、最後に編集を確定した方の情報が登録されることになります。」
生徒B「誤った編集をした場合は元に戻せるのですか?」
講師「アプリケーションを作り込めば実現できますが、ポータルのマップ ビューアーでは元に戻すことができません。一つのフィーチャの編集が確定さた時点で保存されてしまいます。」
生徒B「それだと誤った編集をした場合に困りますよね。」
先生「そうですね、、、」
生徒A「別々の人が同時に編集した場合は後勝ちとのことですが、どちらかに編集ミスの可能性も考えられるので、どちらが正しいかを第三者が精査する仕組みがないと困ります。」
わたくし「大丈夫だ!こんなこともあろうかと、同時編集の差分精査や元に戻すための仕組みをこのシステムに組み込んでおいたんだ。」
生徒達「な、なんだってー!」(※注)
わたくし「ArcGIS のエンタープライズ ジオデータベースにはバージョン編集という機能があって、別々の人が同じフィーチャを編集した場合の競合を検知して最終的にどちらが正しいかを確認して確定させられる仕組みがあるんだ。要求仕様には含まれていなかったけどいつか必要になる時が来ると思って追加しておいたが、まさかこんなに早く役に立つ日が来るとはな。」
生徒達「真田さぁん!(安堵)」
ということで、改めて ArcGIS の機能は豊富ということと、それを活かしたシステムを作るにはさまざまな利用想定が必要だということが再確認できるエピソードでした。
なお、台詞は演出のため若干脚色しており追加した機能は黙って仕込んだ訳ではなく開発会社さんに要求して対応していただいております。
ちなみに
「こんなこともあろうかと」と言えば真田さんというステレオタイプがあるけれど、当の本人はこの一度きりしか使ったことがないそうです。
「ハッハッハ!前の旅の経験が活きたんだ。多分こんなこともあろうと思ってアステロイドリングにエネルギーの吸収装置をセットしておいたんだ。・・・以下省略」宇宙戦艦ヤマト2第10話より