その組織のドキュメント管理力を簡単に確認する方法があります。それは、
組織が公開している PDF のプロパティを開く
というやり方です。意外と有名な企業でも残念な管理をしているところがあります。
これが残念な PDF プロパティの例です。
Web 上に作成者の個人名がダダ漏れです。
Microsoft Word で作成した文書は、最初に保存したファイル名が文書のタイトルとして設定されるため、ファイル名に版や日付などを付けておくと残念なタイトルとなります。作成者の文字は Word をインストール(もしくは Microsoft アカウントでサインイン)して初期設定したときの名前が設定されます。作成者に名前ではないもの社員番号とおぼしき番号が書かれているパターンもあります。
また、最近は Word の標準機能で PDF への書き出しができるますが、フリーの PDF 変換ソフトウェアを使うと、タイトルが URL エンコードされた文字列になってしまうパターンもあります。
理想的には有償の Adobe Acrobat を購入して文書プロパティが更新されないように保護するべきですが、それができない場合でも、きちんとした文書プロパティ設定を行うか、あえてプロパティ情報を抹消するかを行うべきです。
Microsoft Word には [ドキュメント検査] 機能があり、不要な文書プロパティを削除することができます。文書のメタデータを整備して高いドキュメント管理を行う機能として用意されたはずの情報をわ ざわざ削除する機能が追加されているとはジレンマを感じますが、個人情報保護に厳しい昨今は仕方ないのでしょう。
ただ、企業が公開する文書では予算の関係で有償の Adobe Acrobat が購入できないから仕方ない、というのは理由にはならないと考えます。その組織がどんな会社かを確認する一つの手段として学生時代からこの手法を使っています。就職活動する学生は、募集要項の PDF プロパティを見ると残念なところを垣間見てしまうかもしれません。面接でこういうところの指摘できるとこいつできるな!と思われるかもしれません(会社にケチつけやがってと思われるかもしれませんが)。
自身で PDF を作成した場合は Adobe Reader で開いてプロパティ情報が問題ないことを確認するべきでしょう。組織内に公開文書の管理部門があり、公開文書ファイルのプロパティを含め、きちんと精査してくれる体制が整っていることが理想です。
Adobe Reader は参照専用のアプリケーションなので編集できませんが、PDF 作成時に編集制限をかけておかないと、Acrobat などの有償ソフトを使えば自由に改変できます。公式文書のように偽装した PDF の作成も可能です。
理想は文書の改編を禁止し、さらに証明書によって保護できれば完璧です。そこまでできている PDF はまだ見たことがありませんが、せめて Adobe Acrobat Standard を導入して 第三者による文書の改編ができないようにはしておくべきでしょう。